カテゴリ:麻酔・集中治療( 12 )

祈り

地軸が傾いた。

地球の自転速度が1.8/100万(秒/日)加速した。

日本は駐車場一台分ほど東へ移動した。

そして、これは終わりではなく、序章であった。     (TIME. 2011:Vol.177:No.12:p.14)




東日本大震災で被災した方々に対し、こころからお見舞い申し上げます。

また、現在進行形で震災からの復旧、復興に向けて死闘を繰り広げている方々に対し、こころから敬服の念とエールを送りたいと思います。


本当に困ったときに国民性が表れる。

本当に困ったときに頼りになる組織がある。

本当に困ったときに膨大な規模で、長いスパンで、そして体を張って助けてくれる国というものが分かってくる。

また、我々より困窮している国々からの援助には、本当に頭が下がる思いである。


我々一般人に、最前線にいる自衛隊、米軍消防、海保、警察、東電をはじめとするプロフェッショナルな方々のような活躍は不可能である。


たいしたことは出来ない。
が、自分に何が出来るのか、問いかけ、実行することで、震災で亡くなられた方々に対する冥福の祈りとしたい。
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by horizone | 2011-03-28 19:15 | 麻酔・集中治療

某試験

前日は浦安までCirque du Soleilを見に行き、鉄板焼きに舌鼓を打ち、うまい酒を飲み干した。

前祝いである。

試験当日、したたかに二日酔の朝を迎え、いつもの如く酒は止めようとほざいた。


総武線から神田界隈を調子に乗って歩いていたら、五十肩の激痛が襲った。

しばしの間、肩を押さえながらうずくまり、悶える。


試験会場。

大学入試などと違い、人生を左右するものでもないせいか、皆に余裕を感じる。

そして、試験開始。

足下から涼しげな風が吹いてくる感じ。

心地よかった。

画像問題が進行する。

ふと局所的に涼しい感じがしてきた。

テーブル下に目を落とす。

・・・・チャック全開ではないか。(・ω・)ノ

いつからであろう?

私の知るの限り、最後に用を足したのは朝食後のトイレである。

従って、総武線から神田界隈まで、チャック全開のまま、肩で風を切り、胸を張って歩いていたことになる。

そういえば、会場受付嬢の視線が若干踊り、どもっていた。

さて、問題はどう対処するか、である。

チャックをあげるべきか。

しかし、カンニングと誤認されるのも癪である。

しからば、トイレに立つか。

しかし、衆目の目線の高さで、チャック全開のパンツが移動していく様はいささか目に余る。

しかも、パンツの奥の奥まで見えそうな勢いで全開なのである。

私も、そのような姑息な手段で戦友たちの試験妨害をするほど落ちぶれてはいない。

ならば、放置したまま経過観察か。

なかなかに心が許さない。麻酔科医はすぐに対処したがる生き物なのである。

しばし熟慮する。

今更、隠すほどのモノでもない、と悟り、しばし涼に浸る決意をし、試験問題にあらためて集中する。
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そして、画像問題が数問先に進んでいることに気がついた。
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by horizone | 2010-10-12 19:31 | 麻酔・集中治療

controversial

手術時には術野を清潔に保つためにドレープと呼ばれる清潔な布やシートを患者さんに掛ける。

穴あきのドレープを使用する場合、術野に最適な大きさの穴が開いたドレープを選択するのが基本だ。

しかし、時に意図していたより小さな穴だったりする。

当院の外科部長はそんなとき、おもむろにドレープを引き破って穴を拡大する。

そんなことは、どうでもよかった。

クーパーでも使えば楽ちんなのに、くらいしか思っていなかった。



ある日、繁華街で外科部長夫婦を見かけた。

今年は猛暑を通り過ぎ、酷暑である。

皆が風通しの良さそうな服装の中、外科部長の○○歳年下の可憐な若奥様、なぜか網タイツである。

派手な網タイツである。

ふと、外科レジデントの言葉を思い出した。

「あのセンセ、公私両面で破るの好きなんですよねぇ。。。」



翌日、外科レジデントを問い詰めたが、とぼけて何も話してくれない。

ドレープを掛ける外科部長をじっと観察してみた。

なんとなく目がすわっている気がする。

そしてドレープを破りだした。

・・・・目が笑っている?



今日も外科部長を観察研究している。

未だに、ドレープと網タイツの関係はcontroversialである。
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by horizone | 2010-09-09 19:12 | 麻酔・集中治療

石けん

麻酔科控え室の流し台に石けんがたたずんでいる。
皆は自然と手にして食器など洗っている。
しかし、その石けんには重大な秘密が隠されているかもしれない。

*******************

先日、そろそろ仕事が片づきつつある夕刻であっただろうか、手術部のNsが私に尋ねてきた。
「先生、石けん貸してくれません?」
「?。。。いいよー。あとで流し台に戻しといてね」
仕事を片づけ、更衣室に向かった。
術衣を脱ぎ捨て、シャツに袖を通していると、シャワールームから水の音が聞こえてくる。
今日も外科のセンセがシャワーを浴びてるんだなぁ。
そういえば研修医の頃は帰宅時間も遅かったから、病院のシャワールームにはよく御世話になったものだ。
昨日は一緒に麻酔を担当したローテーターが気持ちよさそうにシャワールームから出てくるところに遭遇したっけ。

着替えを終え、返ろうとしていると、先程石けんを借りに来たNsが困った顔をして更衣室の扉の前でたたずんでいる。
私「どうしたの?」
Ns「あのぅ、●●先生、見ませんでした?」
私「見てないけど」
外科医「さっき、シャワールームに入っていったよ」
Ns「ええー!!」
私「なんでそんなにビビってるの?」
Ns「だって、だって、、、石けん。。。」
私「!まさか。。。控え室の?」
Ns「分からないんです。でも、まさか、あの石けんで体を洗うわけないですよね?」
私「そんなこと、知らないよ」
不意にシャワールームの扉が開いた。気持ちよさそうに●●センセが出てきた。
●●「ふぅ~、、あれ?みんな集まってどしたの?」
私「いや、なんでもないです。お疲れ様でしたぁ~」
Ns「。。。」(泣)

その後、週末の休みを挟んだこともあり、不覚にもその出来事を忘却していた。
だが、今日、先輩麻酔科医が、流し台の石けんで自分の手と茶碗を洗い、食事をしているのを見て思い出してしまった。
私はこう考えることにした。
その石けんは新しく補充された石けんなのだ。
仮に使用済みであったとしても、表面は洗い流されているわけで、医学的には問題ない。

ただ、私個人の気持ちの問題として、その石けんが●●センセのお股を前後したかもしれないと考えると、どうも使用を躊躇してしまうのである。
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by horizone | 2005-12-17 15:34 | 麻酔・集中治療

ビジネスホテル

以前、100km以上離れた病院に泊まりがけの出張に行ったことがある。
高速道路も通っておらず、こんな不便な場所への出張は若手の担当と決まっていた。
poor riskな症例は当てられず、常勤ドクターがしっかりバックアップしてくれるので、まずまず気楽であった。
おまけに、当時は麻酔よりも、ドライブの方がはるかにラクチンだと思っていたので、秘かな楽しみでもあった。

朝早く出かけたが、さすがに下道、通勤ラッシュにもかち合い、到着までに3時間以上かかった。
術場で挨拶を済ませ、超good riskな麻酔をかける。
手術中も交代で昼御飯を食べる。比較的定時に食事がとれるのは麻酔科の利点だ。
仕事が終わるとスタッフと街にくり出し、すしに舌鼓をうった。
そう、ここは海産物の美味しいことで知られる街なのだ。

楽しい宴も終わり、いちばん安いビジネスホテルはどこか、尋ねると、先輩医師が丁寧に地図を書いてくれた。
遠方の出張先なので、1週間ほど連続勤務となるのだ。
親切な先輩に感激し、地図を頼りにホテルへと向かった。
街の明かりも街路灯を残して消えている。
暗がりの中、空には満天の星が輝いていた。

人通りもまばらな街並みを、「ネオンサインが目印」との言葉に順い、明るい方へ足を進める。
ところが、いくら探してもビジネスホテルが見あたらない。
ウロウロし、さんざん探した。仕事疲れもあり、ついにあきらめ、空を仰いだ。

ラブホのネオンがやけに眩しい。
「。。。あった」
ラブホのカンバンの隅に、「ビジネスOK」の文字。

ふと気づくと、近所の人が遠巻きに自分を見ている。
ラブホの周りを一人でウロウロしている男なんて怪しい以外の何者でもない。
見知らぬ街で通報され、警察に事情聴取なんてゴメンだ。

あわててラブホに飛び込んだ。
もちろん田舎である。受付は対面式だったので、座っていたおばちゃんに向かって「ビジネスです!」と主張した。

指定された部屋へと向かい、ドアを開ける。
リフォームされたばかりのようで、意外ときれいな感じだ。
ほっとしたせいか、どっと疲れが出てきた。
だが、ベッドに倒れかかろうとしたとき、その疲れが吹き飛んだ。
いまどき、回転ベッドである。10年以上前の昼ドラで見たような。。。
もちろんベッドに駈け上り、スイッチを入れてみた。
ぐおおん。。。回る!回る~!メリーゴーランドみたい~!あはは~!
だが、半周した時点で虚しさがこみ上げ、一周したところで落ち込んできた。
回転を止め、布団に潜りこみ、電気を消した。

ひさびさに回らないすしを食べて満足していたのに、ベッドが回った。
つめが甘かった。
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by horizone | 2005-10-07 01:43 | 麻酔・集中治療

麻酔科専門医

先日行われた第44回麻酔科専門医認定試験に合格した。
これで麻酔科専門医として患者さんに名乗れるようになった。
試験勉強であまり日々の臨床に役立たない知識も勉強したが(特に歴史。何年に誰が何の麻酔をしたか。。。すでに忘却の彼方である)、抜けおちていた知識などを補充できた意義は大きかった。
麻酔科専門医として、さらによりよい麻酔を提供するようがんばっていくつもりだ。
自分が患者となったとき、自分に麻酔をまかせられるか。ゴールのない問いかけに、毎日研鑽の日々、と思いを新たにしている。
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by horizone | 2005-10-05 16:23 | 麻酔・集中治療

出張麻酔

先日、遠くの病院に出張麻酔となった。
片道200km以上の道程を高速道路で飛ばした。
麻酔はlumbar一本のみ。
ほとんど、ドライブが仕事だ。

合併症もなく、麻酔は終わり、患者さんは満足そうだった。
ただ、全麻にしなかったので、病院側としては大赤字だ。

帰り際、高速道路で怪しいクルマを見た。
白塗りのクラウン。
制限速度ちょっとオーバー気味。
ゆっくり追い抜き前に出る。
バックミラーを見た。
ごつい男が前席に二人乗り、リクライニングもせずに、会話もなさそうだ。
やっぱり怪しい。
微妙に速度を落とす。
車間距離一定のまま、ピッタリついてくる。
怪しい。。。

と、そのとき。
黒塗りのGT-Rがものすごい勢いで隣を擦りぬけていった。
途端、後ろの白塗りクラウンがめちゃめちゃ加速してダッシュして追いかけていった。
目が点になっていると、クラウンの屋根から回転灯が生えてきた。
やっぱり覆面パトだった。

あぶない。
もう少しで出張料金をすべてもっていかれるところだった。
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by horizone | 2005-09-08 21:44 | 麻酔・集中治療

先日、術後の患者さんが亡くなった。

それまで、合併症でかなり苦しい思いをしておられた。

自分にできるのは対症療法と鎮痛・鎮静くらいだった。

奥さんが患者さんの額を泣きながら何度もさすっていた。

ちょっともらい泣きして立ちすくんだ。


昔、自分が入院したとき、母親がさすってくれたことを思い出した。

帰省するたびに年老いた両親が小さくなって見える。

親孝行もそろそろ考えなきゃ。


心がすさむ日々があっても、大切なものを見失わないでいよう。
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by horizone | 2005-08-18 22:05 | 麻酔・集中治療

技術

今日は外勤だった。
いつものことながら、大学とのレベルの差に愕然とする。
外科のドクター、周囲への対応も、ものすごく紳士的だ。
センセ、今日はあなたの担当だったおかげで心穏やかな日が過ごせました。有り難う御座います~。
やはり、自分が病気になったら、特種な疾患以外は外勤先で手術してもらおうと思っている。

麻酔だけはうちでかけてもらってもいいんだけど。
他大学から途中入局したベテランドクターも、うちの麻酔科の評価は高かった。
お世辞かもしれないけど。。。
あ、でもgood riskだから研修医or救命士さんの挿管&研修医の麻酔維持になる!
やっぱり外勤先に行こう。
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by horizone | 2005-08-15 21:30 | 麻酔・集中治療

挿管

挿管依頼、麻酔科医であればだれしも経験するようだ。
先日、外勤先の病院で麻酔導入が終了すると、ナースが笑顔で語りかけてきた。
「先生、となりの部屋で挿管困難みたいなんです。もし手が空いていたら来て頂けませんか」
「え?全麻してるの?」
そう、この病院には常勤の麻酔科医はいないはずなのだ。
「外科の先生が麻酔してるんですが・・・」
まだドレープもかかっておらず、執刀までは時間がかかりそうだ。
導入後のバイタルも落ち着いている。
「わかりました。見に行きましょう」

隣の部屋に行くと30年目の外科医がバッグをもんでいる。
さすがに落ち着いた対応で、こんな人が無理なもの、自分にできるのかと不安になる。
近くによると明石家さんまも顔負けの出っ歯、おまけにほぼすべての歯が歯槽膿漏でぐらついている。
外科医は展開しただけであきらめたようだ。
歯茎から多少出血しているが折れてはいない。
術前に抜歯についてもちゃんと同意を取っているとのことだ。
なかなか賢明な先生だ。

早速交代し、マスク換気を行なう。
換気は容易だ。
落ち着いてまわりを観察し、枕の高さを変え、スタイレットのカーブを調整する。
さて、展開だ。
。。。なんてことだ。クロスフィンガーで指が当たる歯でさえも折れそうだ。
これでは十分に開口できない。
なんとか喉頭鏡を差込み展開する。
喉頭蓋の確認がやっとだ。
少しでも喉頭鏡を動かすと歯に当たる。
こねようものなら、あっという間に折れてしまうだろう。

一発で決めてカッコイイところを見せつけたかったが、外勤先だし無理はできない。
とはいえ、ここにはトラキライトなんてものはない。
筋弛緩なしでは苦しい手術でもある。

「ファイバー挿管しましょう。準備してください」
麻酔科医が一月に10回以上も外勤に来る病院だ。気管支ファイバーは置いてある。
が・・・・用意してもらった気管支ファイバー、ライトがつかない。
電池ボックスを開けると何も入っていない。
おまけに電池のありかも分からないようでバタバタし始めた。
「先生、始めてもよろしいですか?」
どうやら隣の部屋では本来の担当患者さんの手術を始めたいようだ。
「いいですよ。ただし、バイタルが大きく変動したら中止して待っていてください」
担当患者さんの神経ブロックに自信はあったが、若いので筋弛緩が早めに切れ、バッキングしないか不安になってきた。

「。。。。ブラインドで挿管してみましょう。」
「え?」
外科医が少し笑った。
自分でも難しいのは分かってるんだけどねぇ。。。
マッコイで持ち上げ、ナースに喉を押さえてもらう。
喉頭蓋の後を沿わせて、イメージした気管入り口へと挿管チューブ先端を導く。
入った感触だ。
スタイレットを抜いてもらい、聴診。
チューブの深さを調整する。
EtCO2も良い波形だ。

結局、ブラインド一発で挿管できたのだが、改めて並列麻酔のリスクについて考えさせられた。
いったん複数の患者さんにかかわってしまえば、誰に事故が起こってもある程度責任が生じてくる。
また、麻酔科の常勤医がいない病院は、麻酔をする環境とういう面でやはり問題だ。
緊急時の物品、麻酔科的指示の理解など、危機的状況ほどこういったものが結果を左右する。

この日は、抜管後に喉頭浮腫・換気困難になったら(今まで一例も起こしていないけど)どうしようと悩んだ。
帰宅後も、いろんなことが気になった。

そして、歯磨きが念入りになった。

(注:写真と本文は関係ありません)
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by horizone | 2005-08-11 16:00 | 麻酔・集中治療